入れ歯は就寝時に外すかはめて寝るか、
結論から申し上げるとcase by caseです。
歯科医によっては“嵌めて寝るべき!”派もいれば、“就寝時は嵌めないで!”派もいて意見が異なります。僕自身はどちらかと問われたら、前者の嵌める派に近いです。ただし、条件としては定期的に入れ歯の咬み合わせに問題が無いか、入れ歯と歯茎に隙間が無いかなどを歯科医院で確認してもらい、体に合った入れ歯を使用していること。さらに、入れ歯の適切な清掃・洗浄を毎日すること。それらの条件を満たさずに嵌めて寝ることは百害あって一利なしです。
今回、“入れ歯はできるだけ嵌めて寝る”ことをおすすめする理由をご紹介します。あくまでも、1つの見解としてご理解ください。
フラビーガムの予防
フラビーガムとは、歯肉がコンニャク状のブヨヴヨした状態になったものをいいます。例えば、上が総入れ歯で下が前歯しか残っていないケースで、入れ歯を外すと上の歯茎に下の前歯が食い込んでしまうことがあります。そのような場合、上の前歯部の骨が溶かされてしまい、骨の裏うちがないブヨブヨした歯茎になってしまいます。このことが義歯を不安定にする原因になります。義歯を嵌めることによって歯茎が保護されてフラビーガム予防になります。ただし、奥歯がしっかり咬み合っていないと前歯の咬み合わせが強くなり、逆にフラビーガムの原因となってしまいますので歯科医師に相談しましょう。
顎関節症や肩こり、片頭痛の予防
残っている歯が少なく、入れ歯を外してしまうと歯に大きな負担がかかってしまう場合や、歯ぎしりや食いしばりが激しい人は嵌めたまま寝ることをおすすめします。無意識のうちに生じる歯ぎしりや食いしばりから歯や顎を守ってくれる役割や、就寝時の寝る向きや寝相によっては肩こりや片頭痛の原因になってしまう場合もあります。それらの予防や症状の緩和に入れ歯は役立ちます。
骨の吸収を抑制する
入れ歯を嵌めないと入れ歯を安定させるための骨を舌や頬の圧力によって失ってしまいます。例えば、上の総入れ歯の方で仰向けに寝た場合、前歯の支えがないため唇が口の内側に落ちてきやすくなります。そうすると前歯部の骨の外側から吸収してしまいます。また、横向きに寝た場合も、頬の重みや横から加わる圧力によって同様に外側の骨から吸収してしまい、入れ歯の歯並び、義歯の安定性や吸着に大きく影響してきます。
緊急時のために
就寝中に地震など自然災害に襲われた場合、洗面所に入れ歯を取りに行けずに緊急避難することになるでしょう。入れ歯が無いまま、食事することとなり適切な栄養を摂ることも難しくなり持病が悪化される方もいるでしょう。肌身離さず嵌めていれば、そのような事態になっても安心です。